戦時中に長崎市の三菱重工長崎造船所に徴用されるなどし、被爆したとみられる朝鮮半島出身者約3400人分の名簿を保管していた長崎地方法務局が、名簿を廃棄していたことが分かった。元徴用工の支援団体に文書で廃棄を認めた。名簿は、元徴用工が被爆者健康手帳の交付を申請する際に被爆事実を証明する有力な証拠となるが、長崎では名簿が見つからず申請が却下されていた。支援団体は「被爆者として援護を受ける権利を国が奪った」と批判し、実態解明を求める。
終戦後に帰国した朝鮮半島出身の元徴用工らに対する未払いの賃金や退職金などがある事業所は、日本政府の指導で、名簿と共に未払い金を法務局に供託した。だが、2014~15年に90代の元徴用工の韓国人3人が長崎市に手帳交付を申請した際、供託名簿が見つからず、市は「徴用されていた記録がない」などとして却下していた。
3人を支援する市民団体「強制動員真相究明ネットワーク」(神戸市)が今年5月から供託名簿の所在を明らかにするよう長崎地方法務局と交渉し、同局は7月、「1970年3月末で保存期間が満了し、同年8月31日付で廃棄された」と文書で回答した。文書などによると、48年6月2日、三菱が3418人分の未払い金85万9770円78銭を供託したが、59年、時効(10年)を理由に国庫に納付した。
戦後処理が未解決であることを踏まえ、法務省は58年、朝鮮半島出身の元徴用工らへの未払い金は10年が過ぎても国庫に納付せず、既に納付した場合も書類を保存するよう通達しており、支援団体側は「通達に反する」と指摘している。
長崎地方法務局は取材に「現存する資料からは(廃棄した名簿などが)朝鮮人労働者の方に対する未払い金等の供託であると確認できない」と回答。しかし、供託の日付と金額が、支援団体が入手した朝鮮半島出身の元徴用工らへの未払い金に関する旧労働省の調査報告書などと一致しており、団体側は廃棄されたのは元徴用工らの供託名簿と特定した。 (毎日新聞)
ちょっと前の記事ですけど見逃してました・・・
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